新型コロナウイルス感染症の影響で、小学校や幼稚園・保育園でもこどもたちが常時マスクを着用しているのが当たり前になってきました。そんな中、日本の子どもの約3割に、日常的に口が開いてしまう「お口ぽかん(口唇(こうしん)閉鎖不全)」の症状があることが、新潟大学などの研究グループの調査で明らかになりました。マスクをしていると息苦しいので口が開いてしまうのです。親御さんには口元が見えないため気づきにくいこともあり、口唇閉鎖不全のお子さんが増えています。「お口ぽかん」が日常的になると、様々なトラブルを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
★「お口ぽかん」がもたらす悪影響
①ウイルスに感染しやすくなる
汚れた空気が直接のどを通って気管に取りこまれてしまうので、風邪などのウイルスに感染しやすくなったり、アレルギーになりやすくなります。
②姿勢が悪くなる
口呼吸になるので、あごが下がって舌を前に突き出すようになり、猫背になってきます。
③虫歯や歯周病、口臭の原因になる
口呼吸によって口の中が乾燥し、唾液による自浄作用が働かなくなるので、口内細菌が繁殖したり、食べかすが残ってしまったりして、むし歯や歯周病のリスクが上がり、口臭の原因にもなります。
④歯並びが悪くなり、顔貌が変化する
口呼吸が習慣になると舌の位置が低くなり、前歯を押し出して歯並びに影響を及ぼしたり、口の周りの筋力が低下してぼんやりした表情になることがあります。
★「お口ぽかん」の原因は?
①歯性口呼吸
歯並びや噛み合わせの異常により、口が閉じにくいために口呼吸となってしまう場合のこと。
この場合には、歯並びの治療(矯正治療)を先行して行い、それと並行して口を閉じる訓練を行います。
②鼻性口呼吸
鼻炎や扁桃肥大などの病気があって鼻呼吸が困難な場合のこと。
この場合には、鼻呼吸が可能となるように耳鼻科での診察と治療が優先します。
③習慣性口呼吸
歯並びの異常がないか軽度であり、鼻呼吸が可能であるにもかかわらず、習慣的に口を開けて息をする場合のこと。
この場合には、歯科において口を閉じて鼻呼吸を行うための訓練(口唇閉鎖訓練)を行います。月に1度歯科で訓練法の指導を受けて、自宅での訓練を毎日実施します。熱心に取り組んだ場合、半年ほどで効果が現れてくることがほとんどです。