■過換気症候群とは
・歯科治療中に、極度の不安や痛みが原因で、急に息苦しさを感じて呼吸が過剰になる「過呼吸」の状態になることがあります。この状態を「過換気症候群」と言います。
・歯科治療では局所麻酔を使用することが多いのですが、麻酔に対する不安や恐怖心、針を刺す時の痛みなどが引き金となって起こることが多くみられます。10~20代の女性に起こりやすいとされていますが、男女問わずあらゆる年齢の方に起こる可能性があります。
■どのような症状が起こるのか
・普段の呼吸(換気)では、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出しています。しかし、強い不安や緊張から過換気(過呼吸)が起こると、深く速い呼吸を繰り返してしまい、体内の二酸化炭素が異常に多く外へ排出されてしまいます。
・血液中の二酸化炭素が減りすぎると、血液がアルカリ性に傾きます。その結果、血管が収縮したり、血液中のカルシウムのバランスが崩れたりすることで、手足のしびれや筋肉のけいれん、硬直といった症状が現れます。このような症状が出ると「息ができないのでは」とさらに不安を感じてしまい、過呼吸状態が悪化するという悪循環に陥ることがあります。
■どのような対応を行うか
もし治療中に過換気症候群が起きてしまった場合は、次のような対応を行います。
・まずは治療を中断し、治療用のチェアーを起こして、息がしやすい楽な姿勢(座位や半座位)をとっていただきます。
・過換気症候群自体は重篤な状態に陥るものではなく、通常は自然に改善します。スタッフが「大丈夫ですよ」と声をかけ、不安を和らげます。
・パニックになっていると自分では呼吸の速さに気づきにくいため、スタッフと一緒にゆっくりとペースを合わせ、鼻から吸って口から吐く「腹式呼吸」を行っていただきます。
※かつて行われていた、紙袋を口に当てて呼吸する「ペーパーバッグ法」は、現在では危険性が指摘されており推奨されていません。
■事前にできること
・当院では、これまでに歯科治療などで気分が悪くなったり、過換気症候群を起こしたりしたことがあるかどうか、事前の問診で詳しくお伺いしています。
・歯科治療に対する不安や恐怖、痛みに十分配慮し、リラックスして診療を受けていただけるよう努めています。
・不安や恐怖心が非常に強い場合や、過去に発作を何度も起こしたことがある場合は、無理をせず、より専門的な対応(不安を和らげるお薬の使用など)が可能な施設へのご紹介をご相談することも可能です。
■最後に
・歯の治療に不安や恐怖を感じるのは、決して特別なことではありません。少しでも『怖いな』『不安だな』と思うことがあれば、治療の前でも途中でも構いませんので、いつでもお気軽にスタッフへお声がけください。
■参考サイト
・日本歯科麻酔学会 歯科治療中の過換気症候群に関するプラクティカルガイド
