■キシリトールとは?
キシリトールは、ソルビトールやマルチトールと同じ糖アルコールという甘味炭水化物の仲間です。自然界では多くの果実や野菜に含まれています。例えば、イチゴには乾燥重量100g中に約300mgのキシリトールが含まれています。また、人の肝臓でも、1日当たり約15gのキシリトールが作られています。私達がガムやタブレットなどのお菓子の形で口にするキシリトールは、白樺(図1)や樫などの木から抽出されるキシランヘミセルロースを原料にして、工業的に作られています。自然界にあるキシリトールも、工業的に作られたものも、同じ分子式(C5H12O5)ですので、両者に差はありません。
■砂糖と同じ甘さを持つキシリトール
キシリトールは、糖アルコールの中で最も甘く、砂糖と同じ甘味度を持っています。キシリトールは溶ける時に熱を奪うので、口に含むとスーッとした冷たい感覚があります。そのため、ミントの味によく合うことから、キシリトールを使ったお菓子には、ミント味が多く見られます。また、果物の味をより新鮮にする効果や、苦味を消す効果もあります。
キシリトールを始めとする糖アルコールは、むし歯の原因になりません。糖アルコールからは、口の中で歯を溶かすほどの酸は作られないからです。ソルビトールやマルチトールからは、少量ですが歯垢(プラーク)中で酸ができますが、キシリトールからは酸は全くできません。また、キシリトールの方が甘みが強いので、その甘味により唾液も出やすくなります。
酸を作らないこと、そして、唾液の分泌を刺激して酸を中和することが、キシリトールがむし歯の原因にならない理由です。
■キシリトールの上手な使い方
お口の健康を保つ手段として最も重要なことが4つあります。それは、①歯を磨く(ブラッシング)②フッ化物配合歯磨き剤を上手に使う(フッ化物の応用)③虫歯になりやすい食品が口に中にとどまる時間を短くする(正しい食生活)④これらの手段がきちんと機能しているかチェックする(定期的歯科健診)です。
それでは、キシリトールはこれらのどこに位置するのでしょうか。キシリトールを使う(食べる、摂取する)ことは、前述の健康な歯を守る方法に取って代わるものではありません。ただし、キシリトールを常用することは、これらの手段の効果を著しく向上させます。
例えば、キシリトールは歯垢を剥がしやすくするため、ブラッシング効果を上げますし、フッ化物と一緒に使うことにより、歯を硬くする効果を向上させます。また、キシリトール製品を利用して、正しい食生活の教育もできますし、そのため、キシリトールを使ったむし歯予防法は、「追加型むし歯予防法」と呼ばれています。
参考 テーマパーク2020 https://www.jda.or.jp/park/prevent/xylitol.html